今まで英語習得に関する「基本的な考え方」と僕の実体験からの「実践方法」をご紹介してきました。
今回は「番外編」とし、英語学習時に挫折しないよう、覚えておいてほしいこと2点をご紹介します。
「英語がなかなか伸びない!」「海外に行かないとダメなんでしょ?」と思っている方へ、僕なりの答えをお伝えできたらと思います。
その1:英語力は「勉強した分」比例して伸びるわけではない!?
英語をある程度勉強している方の中で、この現象をすでに経験している方がいるかもしれません。
我々は、昔から「頑張った分だけ成果は出る!だから頑張れ!」と教え込まれてきました。
言語習得に関しても、頑張ることは「最低条件」です。
しかし、ここで覚えておいてほしいのは、言語学習では必ずしも「頑張った分」だけ「期待する成果」が出るわけではないのです。
もう少し正確に言うと、「自分が期待する成長スピード」と、「実際の成長スピード」には大きなギャップが存在するのです。
その理由は「語学学習の成長曲線」というものが存在するからと言われています。
語学において、レベルがある程度のところまで達すると、一旦成長が「停滞」します。
このラインに到達すると、いくら頑張っても「今まで成長してきた速さのスピード」で何かを覚えることができなくなります。
この段階で、多くの人が「全然伸びない・・・自分には才能がないのかもしれない」と思ってしまうのです。
人は結果が見えないものに対し、モチベーションを保つことが難しいため、僕の周りでもこの「停滞期」と言われるフェーズで努力をやめ、結局次の「伸び」に達することができない人が多いです。
この「停滞する」という現象が起こる理由にはさまざまな説があるようです。
例えば、今まで暗記の「インプット」をメインに行ってきており、そこから新しい何かを生み出す「アウトプット」をするために「覚えた事柄」をうまく頭の中で「使える形」に変換できておらず、時間がかかるという説。
(こちらのサイトでも、今まで使ってこなかった「英語を使う(読む・書く・話す・聞く)」という脳細胞を使えるようにするには、ある程度の時間を要すると書かれていいます)
一方、覚え始めはいいが、ある程度のレベルにきて、自分が学んでいることが「学べば学ぶほど奥が深い」=「難解だ!」と感じ、モチベーションが失われるため、今までのような勉強を続けられなくなり、伸びなくなる説など。
色々説はあるようですが、ここで覚えていてほしいのは、1つ。
これは「停滞」であって、頭打ちの「限界」ではないのです。
ここで諦めずに続けることで、「次の成長」が訪れます。
続けていれば、ある日突然「あれ?できてる?」と感じるようになることがあります。
これが「伸び」です。
ここで言語習得者に覚えておいてほしいのは、上記のイラストにも書いたように、言語習得は「伸び」と「停滞」の繰り返しが訪れるということ。
諦めずに続けることで、必ず次の「伸び」を経験することができます。
その伸びを経験すれば経験するほど、「英語習得」に近づくのです。
ちなみに僕もいまだに「次の伸び」を経験するための努力を行っています。
その2:海外に住んでも、言語力は伸びるわけではない!?
周りの人からよく「海外に行けたらなぁ〜自分も英語上手くなるのになぁ」と言われることがあります。
ただ、僕が色々な国で英語学習をする人を見てきて思ったのが・・・
海外(英語圏)に住んでも、それだけでは英語力は伸びないという事実。
これはOutputであるSpeakingとWritingに顕著に現れるようです。
なぜこのような現象が起きるのか?僕なりの回答は・・・
英語圏の国に住んでいると、毎日嫌でも英語を耳にしたり、目にしたりします。
スーパーに行けば日本で見たことのある野菜や肉のタグが英語表記されており、「へぇ〜英語だとこういうふうに言うんだぁ」とか思います。
友人と話をしたりしていると「へぇ〜こういう時って、そういう言い回しをするんだぁ」とか学びます。
このように「生活しているだけ」で、かなりの量をInputすることになるListeningやReadingは、黙っていてもある程度のところまでは伸びます。
一方で、SpeakingとWritingはより「能動的」なスキルです。
こちらに関しては、自分からOutput練習を積み重ねない限り、海外にいようがいまいが、簡単に伸びることはありません。
なぜなら、黙っていても入ってくるListeningやReadingに比べ、SpeakingとWritingは自分が常に発信しなくてもいい。簡単な言葉で済ませられる。恥ずかしかったら・嫌だったら黙っていればいい。などの「しない」という選択肢があります。
結果、(人によってですが)「Inputに比べOutputの量が圧倒的に少ない」環境で過ごし、いつまで経っても英語を流暢に喋れることができない状態になってしまうのです。
例として、海外(英語圏)に行ったのに語学学校を一歩出たら、日本人の友達と遊び、バイトも日本語が通じるレストランなどで行う。家に帰っても日本の人とSNSを日本語で行い、日本の情報ばかりを日本のメディアで拾い読みをする。
結果、高いお金を払って海外に英語を学びに行ったはずが、「留学」ではなく、「遊学」となり、日本に帰ってきても英語をそこまで使えない人が多くいるのです。
実際この状況にいる方々を、カナダでもオーストラリアでもかなりの数見てきました。
僕は、この状況になりたくなかったため、海外にいるときは、日本語を話す環境から意図的に距離を置きました。
日本人の友人はほぼ作らなかったし、オーストラリアでは、日本の留学エージェントが最初手配してくれた日本人だけのシェアハウスを1〜2ヶ月で出て、オーストラリア人と二人でアパート暮らし(シェア)をし始めました。
また、以前【英語習得 実践編③】や【英語習得 実践編④】でお話ししたような英語を日々の生活で使わざるを得ない状況を作りました。
これが僕の【英語習得 実践編①】でお話しした「環境整備」です。
この環境の中でアウトプットをし続けた成果、ある程度の英語力がつきました。
繰り返しにもなりますが、これらの経験からお伝えできるのは、英語習得は「どこに住むか」ではなく、「それに適した環境を作り、その環境に居続けられるか」です。
海外(英語圏)に住んでも、それだけでは英語力は伸びません。
「言語は使ってナンボ」です。
くどいようですが、できるだけ日々英語を使える環境を作り、その環境で常にレベルアップを目指していきましょう!
さいごに
全8回に渡ってお届けしてきた「英語習得シリーズ」、楽しんでいただけたでしょうか?
「なぜこのシリーズを作ったか」という裏話をすると、以前僕のアシスタントをしてくれていた学生の子たちと、一度だけオンラインイベントを行う機会がありました。
その際に、その子たちが「やりたい!」と、取り上げてくれたテーマが「先生はどうやって英語力を習得したの?」でした。
日々仕事・プライベートで使っている英語も、自分がどのように習得したのかということをそれまで考えたこともありませんでした。
そのイベントを通し、そして今回のシリーズを通し、改めて自分がどのように英語習得をしてきたかを考えるいいきっかけになりました。
皆さんにとっても、このシリーズを通して何かヒントが得れたら嬉しいです。
また、一番最初にお話ししたように、僕は言語の専門家ではありません。お話しした内容は、あくまでも僕の経験・体験から話しています。
読者の方で「理論的にはこういうことを言ってるよ〜」みたいな本があったら、興味があるので、ぜひ教えてください。
今回で「英語習得」シリーズに関しては一旦終了しますが、リクエストや質問があれば、またどこかのタイミングで英語習得に関する記事を出すこともあるかもしれません。
これからもためになるような記事をアップしていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします!