ミライへのタネ
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PROF'S LIFE

大学教員の「正装」とは?

みなさんの職業の「正装」って何ですか?

 

卒業式シーズン。うちも先週、無事卒業式が終わりました。

アカデミック・キャップをみんなで一斉に上に向かって投げる「キャップ・トス」をしている大学は、日本に数少ないとか。APUでは、毎年2回ある卒業式の恒例行事です。

ところで、みなさんの卒業式では「アカデミック・ガウン」と呼ばれるあのハリー・ポッターに出てくるようなローブを着ましたか?

一説によると、古来アカデミック・ガウンは大学における「制服」だったようで、今では卒業式のみに着る大学が多くなったとか。

ということで、今日は普段ではあまり目にすることのない「アカデミック・ガウン」について、僕のいたオーストラリアの大学(The University of Queensland)と、現在在籍するAPUの経験から、紹介していきたいと思います。

アカデミック・ガウン

日本においても、海外においても、卒業式というものは、やっぱり特別です。卒業生にとっては、それまで頑張ってきた大学生活を終え、新しい世界への旅立ちをする儀式です。

そんな卒業式で、登壇する先生たちはどんな服装をしていましたか

もし、あなたの卒業した大学(もしくは現在いる大学)が、上に述べたアカデミック・ガウンを着る風習があったところなら、こう思ったことないでしょうか?

なんで登壇する先生たちは、様々なタイプのアカデミック・ガウンを着てるの?

まず、アカデミック・ガウンは大学教員にとってアカデミックな式典に出る際の「正装」です。そして、式典には、自分が卒業した大学のアカデミック・ガウンを着る風習があるからなんです。

僕の場合、オーストラリアのThe University of Queensland のアカデミック・ガウン。アメリカのPenn State Universityを卒業した人であれば、その大学のアカデミック・ガウンを着て、自分が今在籍する大学の卒業式に出席することになります。

デザインの違い

このアカデミック・ガウンですが、実は国・大学によってデザインが大きく異なります

例えば、イギリス系(オーストラリア・ニュージランド含む)は、シンプルで黒いローブのようなガウン。長さはスネくらいまであり、前は閉じずに開いています。

The University of Queensland (オーストラリア)の場合、ガウンと同じ長さの色の帯(取得した学位により色は異なる)をつけます。

  • 博士:赤
  • 修士:青
  • 学士:白

これにアカデミック・キャップ(The University of Queenslandの場合、博士号はボンネット、それ以外の学位は角帽。どちらにも「タッセル」という房飾りがある)と、帯と同じ色のフード(実際には被らずに背中にかけておくような感じ)を身につけます。

一方、アメリカ系(APU含む)のアカデミック・ガウンは、基本的に正面を閉じます。

黒基調のガウンが共通のイギリス系に比べ、さまざまな色があるのが、アメリカ系の特徴の一つかもしれないですね。これは特に学士を取得した卒業生のガウンに顕著に出てる気がします。例えば、APUは赤。Penn State Universityで学位を取った僕の友人は、全体が青・紺色のガウンを着ていました。大学のカラーを強調しているのだと思います。

また、アメリカ系アカデミック・ガウンのもう一つの大きな特徴は、博士号のガウンの袖に、3本のラインを施した袖章が縫いつけられているところです。全体的にシンプルなイギリス系に比べ、より装飾が施されている印象があります。

アカデミック・ガウンっていくら?

アカデミック・ガウンですが、借りる場合・買う場合で値段が異なります。The University of Queenslandで博士号の場合、借りるのがA$69で、購入はA$507~727くらいです (George H Lilley)。

購入時の値段の違いは、ガウンの素材で、ポリエステルポリエステルとウール高級ウールのみから選ぶことになります。

僕の場合、お店の方に「ウールだけだと虫がわいてしまうよ」というアドバイスをいただいたので、ポリエステルとウールのブレンドでA$617くらいでした。

結構な値段がするので、博士号取得の卒業生でも、アカデミックの道に進む人。その中でも、一部の人のみが購入しているようです。

ちなみにAPUでは、購入する場合、学部生で6,000円院生で8,500円みたいです(APU COOPより)

まとめ

今日は、普段の生活ではまず着ることのない、アカデミック・ガウンについてお話をさせていただきました。実はタイプ、デザイン、色づかいの理由、素材など奥が深いアカデミック・ガウン。また、今回は説明できなかったイギリス系・アメリカ系以外の国にもいろいろなタイプがあるようです。

もし、みなさんが今後卒業するとき、もしくは大学教員などで卒業式に出るとき、登壇している先生たちのアカデミック・ガウンにどんな特徴があるのか、「ファッションショー」的な感覚で眺めてみても面白いかもしれません。

卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます!

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